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外国語への扉

日本人にとって、つとに重要な外国語は英語であり、ほとんどの場合これが最初の外国語です。
今のところ中学1年生で英語の学習を始め、高校3年生までは最低でも英語を学び続けます。
自分も例に漏れず、中学1年生から英語の学習を始め、大学の教養課程まで8年間英語を学びました。
そうなると、必然的に「英語が外国語のスタンダード」だと思い込んでしまう。「英語が外国語の標準的な文法に則っている」と考えてしまいがち。

友人にも言われましたが「お前、海外志向だったっけ?」と首を傾げられるほど、海外での生活に興味がありませんでした。
英語の文法的理解は得意でしたが、これを使って世界に羽ばたこうなどと考えもしなかったです。
しかし、社会人をやりながら夜間の大学に通ったのがきっかけで、再び外国語を学ぶ機会に出会いました、それも英語以外の言語に。

たまたまその大学ではドイツ人の先生にドイツ語を学ぶことができると知り、「何となく面白そう」といういい加減な気持ちで受講を始めました。それがどうしたことか?今ドイツに住んでいます。

自分が今も恩師であるドイツ人のA先生の講義を受けて衝撃的だったのは、ドイツ語の疑問文がとってもシンプルだったこと。
英語では否定文・疑問文の作り方が異なるという理由から、動詞をbe動詞と一般動詞に分けますが、ドイツ語ではこの2者を分ける必要がありません。
つまり動詞を文頭に出して主語とひっくり返し、文末に疑問符(?)を付ける、と。
He plays soccer. ---> Does he play soccer?  (ちなみに He is a soccer player. ---> Is he a soccer player?)
Er spielt Fußball. ---> Spielt er Fußball?    (ちなみに Er ist Fußballspieler. ---> Ist er Fußballspieler?)
上記のように、ドイツ語では一般動詞の疑問文に助動詞doやdoesが不要なのです。このことを学んだときの衝撃と感動は今でも忘れられません。「英語以外の外国語って、自分の思いも寄らないルールが存在しているんだろうな」と思ったときの高揚感。
いきおい先生に講義後話しかけたら、「英語をね、日本人は中学から大学まで8年間も勉強するでしょ?それなのに身につかない。面白いのは、8年もやって身につかない言語を、社会人になっても事あるごとに思い出し、その度に学習をし直そうとする。だから英語コンプレックスの人が多いと思うんだ。世界にはさまざまな言語がある。8年間も学習して身に付かなかった言語なら潔く諦めて、せっかくなら他の言語をやればいいのにねぇ」

私はいわゆる「英語のできる生徒」だったけれど、この言葉に感化されて本格的にドイツ語の学習を開始。日本を飛び出すことになりました。恩師A先生からは「君が私の28年間ドイツ語講師人生で、ドイツ語をマスターした最高の生徒。大したものだ」と褒められました。

先生は私の模範です。なぜなら先生は30ヵ国語以上を操れる言語学者であり、外国語を学ぶ楽しさを私に教えてくれた恩師だからです。
今も私の手元にはさまざまな外国語のテキストが置いてあり、暇なときに眺めていますが、もはや「英語が文法の世界標準だ」という先入観はまったくありません。むしろあらゆる名詞に性別があるほうが多数派だと思ってしまうほど(英語の名詞には性別がない)。

先日もドイツ語のレッスンで疑問文の作り方を説明している際、12年前のドイツ語講義での感動が蘇ってきました。
英語以外の外国語を学ぶのって、視界を広げるにはもってこいだと私は確信しています。

次はどんな言語を学ぼうかしら?

by wp636 | 2017-08-25 13:32 | ドイツ語