そろそろ夏休みが見えてきました。
気になるのは、長い休みの間の学習をどうするのか?ということ。

普段から地元の学習塾や個別指導教室に通っている方ならば、そこで引き続き夏期講習会に参加するのが一般的でしょう。
しかしすべての方がそうとは限りません。
自習がしっかりできるお子さんで、学校から出る課題もコツコツこなせるようならば、夏期講習会だけ塾通いしても問題はないかもしれません。
一方で、夏休みだからこそ学校での学習の遅れを取り戻そうと思って、夏期講習会への参加をご検討の保護者の方もいらっしゃることでしょう。
その場合、お子さんを地元の学習塾に通わせようと考える際には注意が必要です。

学習塾にとって夏期講習会は、年に二度ある書き入れ時のひとつです。もしもここで1学期までの復習をしようものなら「日本に一時帰国しますので、また秋からお世話になります」と言われかねません。
だから復習・定着の講義を行う塾(特に進学塾)はまずありません。「もっと先の学習を進め、早いところ総合演習に時間が割けるようにしましょう!」と耳触りの良い言葉で生徒を囲い込もうとします。資本主義社会ですから当然といえば当然の施策でしょう。

でも生徒を持つご家庭ではそのような塾の実情はよく知られていないのもまた事実です。
進学塾の効用もありますが、もしもこれまでの学習に躓いていると感じている生徒さんには、別の方法も検討すべきであるとお勧めします。

なぜそんなことが言えるかといえば、それは私自身が海外進学塾で専任講師をやっていたからです。
夏休みのテーマに「1学期までに習ったことの復習と基本の徹底的な定着を図ること」を選び、結果的に多くの生徒さんが「それなら日本に帰って実家で自習します」という(商業的な)大失敗を体験したことがあるからです。
もちろん私も失敗に学んで、以降二度と復習を夏期講習会や冬期講習会のテーマに選ぶことはありませんでした。
例えば、国語の文法事項を完全マスターするとか、古典の難解な読解まで一気に攻略するとか、夏休み中に関係代名詞まで解説しますとか、「講習会に参加しないと後れを取るぞ」と思わせるテーマを選んで生徒さんを囲い込んだ記憶があります。

よくよく考えてみてください。
長いこと塾に通ってくれた生徒さんこそ第一番に優先されるべき存在です。彼らの第一志望校合格こそが至上命題です。
講習会にだけポッと参加する生徒さんが実際の講義を受けてみて「なんだかやっていることが違うな。知らないことばかり解説しているな」と思っても、彼らに合わせるようなことは一切しません。それが進学塾なのですから。

これも自分の実際の経験ですが、中3の5月頃になって入塾してきた生徒さんがいました。その年の4月に転校してきたとか、そういった事情のある生徒さんではありませんでした。要するに、ずっと同じ地域に住んでいたけれど中3の春休みが終わって慌てて塾通いを始めた、と。
残念ながら日本人学校などの学習進度よりも進学塾はかなりスピードが速いですし、先ほどから書いているように講習会は復習の機会ではないので、どんどん学習は進んでいくわけです。
この生徒さん、自身の学習の遅れにがっかりして、3ヵ月ほどして退会していきました。
可哀そうだと気の毒に思う気持ちはありましたが、至上命題は今まで通い続けてくれた生徒さんの志望校合格。
残酷なようですが、細かくレベル分けなどできない海外塾では、付いていかれない生徒さんは置いていかれる運命です。そういう指導形態に疑問を抱く講師ならば、私のように進学塾を去るしかないわけです。

海外塾勤務時代、他の同僚が口にするのを耳にしましたが、進学塾と家庭教師は「住み分け」をすることなるということです。
集団授業に付いていかれる生徒さんは大手の学習塾に通う、と。そこでは学習が厳しいと感じる方は他の方法を模索するしかない、と。

だからこそご自分のお子さんの学習進捗度や学校での成績などを踏まえて、ご自身にピッタリの夏休みの過ごし方を考えていただきたいと思います
他のクラスメイトさんの様子や学習塾の評判も大切な判断材料ですが、最終的にはお子さん一人一人で事情は異なります。
限られた時間、しかし結構長い期間だけに悔いの残らない過ごし方をしてほしい、そう思っています。

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by wp636 | 2017-06-18 22:52 | 受験 | Comments(0)

受験する生徒さんにとっても、また保護者の方にとっても悩ましいのは、「果たして志望校のレベルは高めに設定した方が良いのか?はたまた自分の学力に見合ったところで、将来的に落ちこぼれるリスクを下げた方が賢明なのか?」ということではないでしょうか。

たしかに自分の学力以上の学校に狙いをつけ、仮にビリで入学してもレベルの高い学校の質の高い教育を受ける方が良いという考え方には説得力があります。また本人のレベルに合った学校に進んで、その学校でトップを狙うという戦略もあります。
一つの面白い例を挙げてお話ししましょう。

私は高校時代、3大予備校の一つに通っていました。レベル分け試験用に必死に対策を練ったので、嬉しいことに一番上のクラスに参加することができました。
最初の講義の際、たしか国語だったと思いますが、クラスにいる生徒たちの学生服、セーラー服を見て委縮しました。県下のトップ校の生徒ばかりだったからです。例えば、栄光学園、聖光学院、フェリス女学院、県立湘南、県立翠嵐、浅野、関東学院附属、横浜共立などなど。
でも私はもともと無名校の生徒、「誰も私の学ランを見ても学校名なんか分かるわけない」と開き直って授業に必死で食らいついていました。

さて上記掲載の学校の一つ、超有名校の生徒の中にもとっても頭の良い生徒と学校では最下位に近い位置にいる生徒とが一緒に学んでいることを知りました。
講義の合間の休憩時間、「K、お前馬鹿だもんな」なんて信じられないようなからかい言葉が飛び交っていたからです。どうもKくんはこの学校に入学した当初から勉強についていくのが大変だった様子。志望校を高めに設定してチャレンジした生徒さんだったのでしょう。
たしかに学校では最下位に近い順位に甘んじているかもしれません。しかし腐っても〇〇でしょ?私は彼を馬鹿にするからかいに耳を疑いましたね。最下位の生徒でも予備校ではトップクラスにいるわけですよ。

この学校のトップの生徒は講義中、予備校の講師(国語の神様と当時呼ばれた名物講師)から名前を呼ばれ「君が〇〇くんか。もう君は国語の勉強しないでいいよ。君の学力は既にこのクラスのレベルを超えているから、僕にはもう教えることがない。数学とか英語とか、もっと他の教科を学んだ方がいいよ。」と言われていました。これには正直飛び上がるくらいビックリしましたね。なぜなら私たちはその時高校一年生だったからです。
すると周囲に陣取っていた彼のクラスメイトが答えました。「彼は数学も英語も校内一番です。」と。こいつにもビックリしました。県下No1.と言われた学校のトップは国語・数学・英語すべての教科で校内1番だったからです。

このトップ君は東大模試に成績優秀者で名前が載る常連で、結果的に現役で東大法学部に進学しました。
ま、ここまではよいのです。問題はクラスメイト達にいじられ、馬鹿にされていたKくんのほうです。

Kくんは周囲に「馬鹿だ」とからかわれても決して諦めていない感じでした。「自分はたしかにこの学校では成績が下位だ。でもこの優秀な連中に必死に食い下がっていればきっと志望校に合格できる」と思っているように見えました。何故そう思ったかというと、周囲の賢い生徒たちも決してKくんを本気で馬鹿にしていない・虐めていない様子で、むしろ必死に食い下がってくる彼に感心しているような雰囲気すら感じていたからです。彼の志望校は都内の国立大学。なぜ知っているかというと、私もその学校を狙っていたからです。模試でも顔を合わせましたから。

結果的にどうなったと思いますか?
私はこの国立大学の受験に失敗し、慶應に進学しました。彼は自分の夢にこだわって一年浪人しました。そして一年後、第一志望校に見事合格したと友人を介して聞きました。
背伸びして超有名校に進学したことは、彼にとっては大いなる財産になったのです。

では志望校は高くに設定するのが絶対的に正しいかといえば、そうではないでしょう。
やはりその生徒さんの気質、ものの捉え方にかかっているように思います。圧倒的に優秀な周囲の生徒に気圧されていじけてしまうようなら、志望校をできうる限り高めるのは得策ではないでしょう。

インターネット上ではたくさんの学校情報、OBからの評価などが溢れています。でもいくら客観的に評価しても、進学先がその生徒さんにとってベストか否かはその個人によるという側面を見落としてはいけません。

厳しい環境にあっても逆境をバネに能力を伸ばしていける性格の生徒さんなら、私は迷わず高い志望校設定を勧めます。やはり伝統ある進学校には新参者にはない素晴らしい学校の歴史の重みがあり、生徒の自尊心などが自然に育ちますし、人脈ネットワークという意味でもとても価値があります。

また志望校のレベルを多少下げても、進学先で自分のペースを守って学校のトップを狙い、推薦制度などで自分の進学先を幅広く選べるような学生生活を送る生徒さんもいます。

最後に、学校選びはインターネット上の評価などに頼り過ぎず、あくまでお子さん一人ひとりの性格をよく見極めて決めてほしいと思います。

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by wp636 | 2017-05-02 01:22 | 受験 | Comments(0)