漢字の学習などと言いますと、面倒な作業のようで興味もそそられませんね。
でも読解問題で躓いている生徒さんの中には、基本的な語彙が欠けているのでしょっちゅう読解にブレーキがかかっているような状態の人が見受けられます。
厄介なのは、分からない言葉が基本的なもの・文中に何度も出てくるものだけに、読解の肝を理解できないことになってしまう可能性が高いということです。

漢字の書き取りの練習を機械的にさせることは一見退屈なことではあるけれども、やはり小中学生の間はとても大切なことです。
では効率よく習得するにはどうしたらよいか?
それは読解問題の中で分からなかった語彙を拾っていくことでしょう。文章の内容とシンクロして暗記できるからです。
ともすると無味乾燥な作業になりがちな漢字学習を、たった今読んだ文章と関連付けて頭に入れていく。これが一番効果的です。
文章の内容理解も深まって一石二鳥です。

少しずつ語彙を増やしたら、今度は毎週10個とか15個とか漢字だけを書きとり演習するようにします。
宿題でやらせるだけでは駄目で、確認のための小テストなり、ホワイトボードに問題を書いてその場で書かせて確認するなどの作業が欠かせません。

今になって自分の学生時代を振り返って思うのは、小中学生時代の吸収力は40歳を過ぎた人間のそれとは比べものにならないということ。
多少無理っぽい量の暗記をしても、人間の脳はせいぜい5%程度しか活用されていないのでパンクすることはありません。
漢字ドリル・漢字練習帳など大変有用な教材があります。これを最大限に利用したいですね。

只今小学生・中学生の学習指導要綱に示されている漢字をすべてカバーする問題集プリントを、コツコツ自前で作成する計画を立てています。

[PR]
by wp636 | 2017-05-28 07:23 | 解法のコツ | Comments(0)

インターネットで検索すれば、さまざまな学習教材が無料で手に入る時代。わざわざ紙のテキストを購入する必要もないのでは?と考えがちです。
しかし紙のテキストにはすぐに開いて必要な箇所を学べるだけでなく、何気なく目に飛び込んでくる周辺の情報に接するという有用な側面も無視できません。
またパソコンの画面に表示させた内容は、サイトを移動してしまえば頭からも抜けていってしまいかねない。「必要なときに画面表示させれば済むこと」と思っていても、いざ必要なときには見当たらないのが常。重要だと思った資料などは印刷しておくことをお勧めします。
紙媒体のテキストも、高校生までは持ち歩いたほうがよいと思います。

以前、個別指導した生徒さんでなぜかテキストを持とうとしない方がいました。
私の方から学習する上で適当と思われる参考書や問題集を複数紹介したのですが、一向に買う気配がないのです。
仕方ないのでスキャナーで自分の教材をデータとして取り込んで送信していたのですが、ある時「データにしてもらっても余白が多くて印刷すると無駄が多い(黒く印刷されてしまう)。どうにかしてください。」と文句を言われる始末。。。
「勉強する気がないのかしら?」と不思議に思いました。
流通の発達した現代、日本語で書かれたテキストでも1週間もあれば日本からお取り寄せ可能だと思うのですが。Club Japanなどの便利なサイトもありますよ。
中高生の学習参考書は一冊2000円以下のものが大半です。それほど高価なものだとは思えないのですが。
数冊の参考書を買い与えて、それで勉強好きになる・学校の成績が伸びるのならば安い買い物ではありませんか?

私は古いタイプの人間なのか、テキストは自前で用意してほしいと思っています。
学習効率もその方が絶対に高いと確信しています。

[PR]
by wp636 | 2017-05-27 17:56 | レッスン | Comments(0)

私は黄昏どきの図書館が大好きです。
読書をする人・勉強している学生さんが、ポツリポツリと散らばっている大きな図書館がこの上なく好きです。

これまでに幾度となく試験というものを受けてきました。
そのための準備を図書館でしてきたので、図書館という空間は私にとってかけがえないのない場所です。
マスコミの試験を受けるため、会社帰りに毎晩立ち寄った日吉の慶應大図書館。社会人学生をしていた時、授業の合間を縫って通い詰めた名古屋工業大学の図書館。横浜駅近くにある私設の図書館。神奈川公会堂近くにある市営の図書館。試験勉強のため有給休暇を取ったのに、朝から勉強するために出掛けていったのは会社の向かいに建つ愛知県図書館ということもありました。
ドイツに来てからはフランクフルトのドイツ連邦図書館がお気に入りで、入り口に立つ守衛さんとお友達になりました。
その後フランクフルト大学の図書館に通い詰めるようになったのですが、今はそこを離れて自宅で勉強しています。

黄昏どきの図書館に座っていると、とっても懐かしい気持ちになります。
あれは中学生くらいの思春期の頃を思い出させるのか?それとも大学受験に向けて必死に勉強していた高校生の頃を思い起こさせるのか?
滅多にないことなのですが、突然胸がキューンとなるんですね。切なくて、とっても懐かしい感じがして、下手をすると涙がこぼれてしまうような、そんな何とも言葉では表現できない感覚に陥るのです。そこで、しばらくボーっとしてからまた机に向かう、と。

歳を重ねるにつれて、じっと机に向かうことが難しくなりました。ただ席に座っていることが困難になってきました。
若い頃、何の気もなしにできていたことができなくなる。「若い時分にしっかり勉強しておけ!」と言われた意味がようやく分かるようになりました。
でも不思議なことに、若い頃よりもやる気は充実しています。学習というものが義務であることを離れた頃から、無性に勉強する気が湧いてきたように感じます。
そして図書館に通うとちょっぴり期待してしまうのです。あの胸がキューンとなる瞬間が訪れないかな、と。

[PR]
by wp636 | 2017-05-26 08:21 | 閑話休題 | Comments(0)

レッスンをしていく上で大切なことは、
- 学習単元をしっかり解説し、そして生徒さんに定着させること。
- 興味深い話をして、学習意欲を引き上げること。
に尽きると考えます。

上のどちらかに偏っていても不十分でしょう。すなわち、知識は豊富でしっかり解説はできるけれども講義が面白くない。かたや話は面白いけれどレッスンの内容がおざなりになる。

以上2点をしっかり実現するには、不断の努力が必要です。
つまり、生徒さんの学習する内容を先取りしてきちんと十二分なレッスンの準備をすること。そして興味深い話題を集めるよう日頃からアンテナを張って生活することです。

以前、集団授業を専門にする進学塾で専任講師をしていた頃、社長がたまたま出張してきて私のレッスンを何気なく見ていました。
そこで指導している内容や方法よりも、閑話休題で話していた内容に興味をそそられたようで、授業後に「授業中に話していたことって、どこで手に入れてきたの?ああいう面白い話をいつも君は生徒にしているの?」と質問されました。
内容はもう覚えていませんが、当時は意識して本を読んだり、興味深いドキュメンタリー番組を録画しておいたり、更に知識を深めるためにインターネットで調べ物をしたりしていました。カバーしていた範囲はかなり広範囲で、J-POPから囲碁将棋からお笑い、クラシック音楽、江戸時代の浮世絵まで、とにかく話題にできそうなものは貪欲に吸収していて「ネタ帳」に書き留めていました。

そのような情報収集には当然時間が掛かります。だからこそ、講師にはレッスン以外にも絶対に時間が必要だと感じています。
何が言いたいかというと、このところの集団塾などでは講師がいっぱい一杯に働かされていて、自分の引き出しを増やす時間の余裕がないように思うのです。
学校の先生にも言えます。とにかく授業準備、保護者への連絡、会議資料の作成と校長先生への報告・・・と余裕がなさすぎる。

将棋の天才・羽生善治3冠王は言いました。「厳しい対局の合間の休憩時間だからこそ、今は何も考えない時間を意図的に作り出すようにしています。脳に隙間ができないと、良い手(アイディア)が浮かんでこないからです」と。
これはフェルマーの最終定理を解明したA.ワイルズ先生も同じようなことを言っていましたね。京都の有名な散策路といえば『哲学の道』ですが、ここも西田幾多郎先生が良いアイディアをひねり出すために好んで散歩していた通り道から来ているといいます。
頭の中に隙間を作る、頭の中を一度空にする時間を設けるというのはとても大切なことなのです。

今や学校も塾もサービス業ですから、「もっと保護者との面談を増やしてほしい」「より細やかな指導をしてほしい」と要求はエスカレートする一方。
でも時間には限りがあり、目いっぱいの時間に追われた暮らしを送っていては効率は下がる一方だと思います。

私は「自分はスーパーマンではない」ということを前提に、何を追求する必要があるかということに焦点を当ててレッスンを組み立てています。
私が集団塾の講師を辞めたのは、講義以外のサービスがあまりに多かったからです。
よくよく考えてみていただきたい。保護者面談や保護者スクーリングといったものを頻繁に行うことでお子さんの成績が伸びますか?
その準備のために、塾講師たちの授業準備の時間が削られているという負の側面を見落としてはいけないと思います。

何事もそうですが、一番シンプルなやり方がベストなんです。本来あるべきものの他におまけが一杯ついていてお得感があるというのは、実際のところかなり怪しいですし、とっても非効率になっている・無駄がたっくさんあると考えるべきです。
なぜそう断言できるかというと、それは私が塾講師の仕事だけをやってきた人間ではないからです。民間会社で予算編成業務や雑誌の売り上げ、原価や費用を監査する業務などに携わってきたからです。

もっとはっきり言うと、本業に自信がないからおまけがアレコレ付いてくるんです。

今は私の指導方法に共感いただいている方だけに個別のレッスンをしていますが、とてもシンプルな内容になっています。
そして目標にしっかり届くようになっています。
長い時間を掛けてようやくたどり着いた究極のかたちだと確信しています。

[PR]
by wp636 | 2017-05-24 03:43 | レッスン | Comments(0)

マクドナルドの迷走地図

昨日近所を散歩していて見つけたのが掲示の看板。
どうやらマクドナルドがすっかり地に落ちた企業イメージを回復しようとして掲示している広告のようです。

なんて書いてあるかというと、『キスするだけで妊娠する』" Küssen macht Schwanger."
こんな馬鹿げた噂に振り回されないで!』(マクドナルドのパテにはミミズが入っているとか、犬の肉が混じっているとか、地べたに落とした肉も拾って再利用しているとか、そういう諸々の噂に惑わされないで!)
ってことらしい。

そういえば先日別のマクドナルドの看板広告には『ドイツにはBielefeldなんて町ってのは存在しない』
なんて間違った情報に振り回されないで!って書いてありました。
Bielefeld住民から文句が来ないのかしら?

自分が子どもの時分、マクドナルドは高価な食べ物でした。家族でマックを頬張るなんてとっても幸せで、ちょっぴりゴージャスな感じがしたものでした。私が中学生の時分にはハンバーガーが1個240円まで値上がりしたこともありました。
昔はお父さんと子どもが一緒にビッグマックを頬張り、お父さんが子どもに「お前もビッグマックが一人で食べられるくらい成長したんだな、偉いぞ!」ってなCMもありましたね。
ところがバブル崩壊後の景気低迷とデフレに陥ると1個55円まで価格が下落。マックとはホームレスが毎日食べるものとまで言われていたっけ?
そのあたりからか、マックのハンバーガーって味が変わったように思うのです。

この疑問をレッスン後の雑談で話題にすると、ドイツ語のレッスンをしていた生徒さんから驚くべきお話を聞きました。
なんとマックのバンズ、パテ、チーズやソースなどを組み合わせると複雑な化学反応を口の中で起こすようで、これらのパーツを一緒くたに咀嚼するとマックの味になると。だから一個一個のパーツをバラバラに食べるとまったく美味しくないのだとか。要するにコカ・コーラ・ゼロの食べ物版。

ドイツに渡ってからもたまぁにマックが食べたくなって、一人小銭を持って近所のマックに食べに行っていたのですが、食後に何か満足感が得られないというか、何か物足りない感がずっと残っていたんです。
その原因がマックの味の変化(使用している食材の変化)によるものだと指摘されて、私には思い当たる節があっただけに大いにショックを受けました。
その興味深いお話を伺って以来、マクドナルドに一度も行っていません。

さてこのブログを読んだ方は、私の主張に「そういえば、マックの味一昔前とちょっと違うような気がするな」と思い当たりましたか?
それともマックが広告で訴えているように「嘘っぱちだ、マックを貶める作り話だ」と思いますか?

[PR]
by wp636 | 2017-05-21 06:56 | 日常生活 | Comments(0)

いきなり夏!

先日まで肌寒かったりひょうが突然降ってきたりで、いつまで経っても本格的な春がやってこないなァと思っていたら、いきなり夏本番か!と思うような陽気に。
今日の気温は27℃ですよ。一体どうなっているんでしょうか?

本来欧州の最も良い季節は5月の終わりから6月いっぱいでしょう。
気温も高くなり、快晴の日も続き、夏時間で昼間が長いし良いことづくめ。旅するならベストなシーズンです。

それと6月からはお祭りのシーズン。各地でさまざまなイベントやおらが町の祭が開催されます。
今年は転居して初めてのお祭りシーズンなので、近隣の町に出掛けていってこのあたりの文化に触れてみようと思っています。
そういえば、今週の土曜日はデュッセルドルフでJapantagが開催されますね。土曜日一日のイベントですが70万人以上の人出が予想されるそうで。ものすごく大きなイベントですね。
さらにビール好きの方にお勧めなのは、Bierbörse。各地のビールが一堂に会するイベントで、ドイツ全土を縦断していきます。
5月からスタートして9月まで続きます。
http://www.bierboerse.com/veranstaltungstermine.htm

ドイツに旅してくる友人知人は誰もみな「ドイツのビールはやっぱり旨いね」って言います。日本のビールとはちょっと別物ですね。
でも日本人にとってはキリンやアサヒのビールが飲みなれているので、飲める機会があるなら日本のビールを!と思ってしまうこと。デュッセルドルフにはたくさんの日本食レストランがありますが、なぜかここで食事をすると日本のビールを注文してしまいますね。

そんな愛着のある日本のビールも購入できるBierbörse。ドイツ文化に触れる機会として一度は訪れてみてほしいと思います。
ちなみにドイツのお祭り食ともいうべき、ソーセージやジャガイモを揚げたものなどと一緒にビールを飲めば最強の組み合わせ。
ちょっとジャンキーですがたまには良いものです。

過ごしやすい季節がやってきました。週末はお外に飛び出しましょう!

[PR]
by wp636 | 2017-05-18 11:26 | 日常生活 | Comments(0)

才能のある人は・・・

安定した職を辞してドイツに飛び出したのはもう10年以上前のこと。
一応本格的にドイツ留学する前に(会社を辞めてしまう前に)2週間だけRegensburgの語学学校Horizonteに体験入学(?)しました。たった2週間、しかもA1レベルで飛び込んだ私。
買い物にも不自由し、Gastfamilieとの意思疎通もまったくできませんでした。
悔しい、悲しい、遣る瀬無い・・・
10日くらい経った或る日、語学学校までの道すがら、涙が出ちゃいそうになってきました。「なんでこんなにうまく行かないのかなぁ」「こんなにいじけた気持ちでいて、果たして会社を辞めてドイツに移り住むことなんてできるのかしら?」と不安や絶望感に支配されていました。
お試し留学する前、会社の上司には「周囲の同僚の誰も、お前のように2週間も連続休暇を取ったことのある人なんていないぞ。帰ってくる頃には席がないと思え」と冗談とも本気ともつかない言葉を投げられていました。その頃には会社を辞めようと内心決意していたので、ドイツ生活が上手くいかないとなると八方塞がりになってしまうのです。

Regensburgの旧市街に入る前に小さな橋が架かっており、その橋のたもとにバス停があります。
なぜだか知らないけれど、そこに年金生活者とおぼしきお爺さんがいっつも座ってバスを待っているのです。ひょっとしたら散歩の途中で小休止していたのかもしれません。
すっかりしょげかえっていた私を見るに見かねたのか、そのお爺さんが元気よく挨拶してくれましたGrüß Gottと。
お爺さん、分かっていたんだな。私がドイツ語で会話できる感じじゃなかったことに。だからもうそれ以外何も言わなかった。笑顔で、ただひたすら笑顔で挨拶してくれました。
あれには本当に泣けた。朝から泣けた。声を出して泣いた。
でもドイツ人に優しくされて、なんだか「もうちょっと踏ん張ってみようかな」と思いました。

2週間が経って帰国の日、語学学校の担任だったS先生は私がたった2週間で日本に帰ることを始めて知りました。
そしてひとしきり驚いた後に私の目を見つめてこう言いました。「必ずドイツに帰っておいで。あなたならきっとドイツ語を身に着けられるわ」と。

その言葉を信じて1年後、私は会社を辞めてドイツにやってきました。2006年10月のことです。それからずっとドイツ暮らしです。
Regensburgにはその後夫婦で訪れました。
世界遺産に登録されてこの町はちょっと雰囲気が変わったように感じましたが、それはひょっとすると自分がドイツ語を話せるようになったから感じたのかもしれません。言語ができるってことは、町の見方から人との付き合い方から何から何まで変えてしまうから。

会社を辞める前、同僚で以前付き合っていた女性からこう言われました。「あなたは才能があるから海外に飛び出していける。みんながみんな、あなたのような決断ができるわけじゃないのよ」と。
でも私は「才能があるから」とか「選ばれているから」という言い方にしっくりこないものを感じていました。
自分の心のうちでは「やるしかないよな」と「決断なくして前途なし」くらいしかなかったので。

先日、たまたま坂東玉三郎さんのトーク番組を見る機会がありました。
その中で司会者が「玉三郎さんは才能があるから」とか「いつからご自分の能力に気付いていたのですか?」といった言い方を何度も繰り返していました。するとご本人は謙遜ではなく大いに本気で「才能なんてない」と否定していました。
そして「もしも才能があるなんて思っていたら、努力なんてしないのでは?」「能力があるのならば努力は必要ないでしょ」と答えているのを耳にして、そうだそうだと納得しました。

才能があると自覚して何かをやるなんてこと、実際にはたくさんあることなのでしょうか?
「とにかくやるしかない!」という必死なおもいからスタートするような気がしますが。

孔子先生は四十にして惑わずと仰ったけれど、私は40代半ばにして迷いに迷っています。悩みが尽きることはなさそうです。
でも、会社を辞めてドイツに飛び出す決意をしたのは間違いではなかった。
なにせ世界は広くなったし、見上げる空は青くて高くて美しいって感じられるようになったから。

[PR]
by wp636 | 2017-05-16 09:27 | 閑話休題 | Comments(0)

日本にいた当時、毎週土曜日に開催された南山短大コミュニティーカレッジでドイツ語の講座を受講していました。
講師は同時通訳を本業とする熱血漢のH先生で、この先生にドイツ語を本格的に学習する道しるべを与えられたと思っています。

ある時、先生は言いました「前つづりbe-やer-は他動詞を導くので、その後に4格目的語がくるんです」と。
こういう覚えやすい簡潔なルールというものを、私はすぐにノートに書き留めて暗記するタイプです。このときも「これは有用な情報を得たな」とほくそ笑みました。

ところが翌週の講義が始まると、或る60代の生徒さんがH先生の先の発言に絡みだしました。
つまり、「前つづりbe-やer-が基本的な動詞についても他動詞にならないものもあるじゃないか!嘘を教えるな!」と物凄い勢いで先生の発言を否定し始めたわけです。
私は言語なんてものは例外があって当然なので、「どうせ自動詞のものがあっても少数派だろうに」と思って黙って聞いていました。
(ちなみにerscheinen「現れる」は自動詞)
この日の授業どうなったと思いますか?
なんとこの議論で1時間15分くらいやりあったのですよ。くだらないですね。もう最後は教室中に白けた空気が流れていました。

ドイツ語レッスンの講師としてハッキリ言います。こういう考え方の人は言語を習得することはできません。
なぜなら言語は数学ではないからです。
相手はヨーロッパの言語です。鎖国していた日本にだってオランダや中国から外来語は入ってきていました。
様々な民族や国家がせめぎ合い、移動していた欧州に純粋なゲルマン語なんてものは存在しません。ローマ帝国やギリシャ帝国の言語がゲルマン語にも確実に取り入れられました。それをたった一つの100%例外のないルールで学ぼうとすること自体が不可能というもの。

60歳の手習いという感じでドイツ語を学び始めた方には到底見えなかったあの男性、今もきっと小さなことにこだわってドイツ語を習得する段には至っていないでしょう。

私は今でもあの時の白けた教室の雰囲気を思い出すことがあります。まずは言語を大まかに掴む。そして細部はレベルの上昇とともに修正していく、これが言語マスターへの最短距離だと信じています。
なのでH先生のbe-やer-は他動詞を導くというのは、今でも正しい教え方だったと思います。
唯一残念だったのは、あの男性が100%他動詞化するのではないけれど、大枠では有効な知識なのだと幅を持たせて理解できなかったことです。私は先の知識を使って「be-やer-の動詞には4格目的語」とマッチアップさせることで、会話のスピードが上がるのを実感できました。いちいち格を考える必要性が薄らいだからです。
そしてこの知識は今でも自分のレッスンに活きています。

揚げ足を取ることよりも、自分の知識を上げるための有効な知識として、他人の言うことは活用した方が賢明だと思います。

余談ですが、ドイツ語の他動詞は4格目的語を取る動詞のことを言います。helfenのような3格目的語しか取らない動詞は、ドイツ語では自動詞です。英語とはここが異なるので要注意です。

[PR]
by wp636 | 2017-05-13 19:31 | ドイツ語 | Comments(0)

ある程度の宿題は必要

 レッスン講師をやっていて気付いたこと。
それは宿題はある程度与えないと駄目ってこと。

 勉強とはやらされてやるものではない、と今も思います。
でも進んで勉強しない人がいるのも事実。それをじっと待っていても始まらないです。

 以前はあまり宿題を出さない講師だったので、よく保護者の方から「もっと宿題を出してください!」と不満を口にされていました。
そんなときは「この方は宿題ってものは与えられるものだと思って学生生活を過ごしてきたのだな。そういう勉強スタイルに満足していたのだろうか?」と疑問を抱いていました。「ひょっとして勉強って修行みたいなものだと勘違いされてやいませんか?」なんて思っていました。

 でも今はちょっと違った考えを持っています。
同じような問題を数多く解くことで、学んだことが定着する効果があると認めています。一度の解説とほんのちょっとの宿題、できれば自分で進んで学ぶようになってほしいと期待しても、残念ながらほとんどそのようなお子さんはいません。それが事実です。
ならばやはり講師の出す宿題の強制力というのも必要なのでしょう。

 ただし、そのまま人生を歩んでいくことは許されません。社会人になって指示待ちする部下ほど使えないものはないからです。
ではどこでギアチェンジするのか?この問いに答えられる学習塾ってあるのでしょうか。多くの学習塾が「当塾のカリキュラムに沿って学習すれば、受験を突破するまで何から何まで面倒見ます」という謳い文句で生徒さんを募集しています。指示待ちの部下は一日にしてならず。小さな頃から周囲の大人に課題も何も与えられてきたから、社会人になっていきなり「自分で仕事を見つけて自主的に片付けていくように」と期待されても動けないわけです。

 自分がいつから「仕事というのは自分で見つけて、先手先手で片付けていくものだ」と考えるようになったのか?実はこの辺の経緯を思い出すことができずにいます。まさか学習塾が教えてくれたとはとても思えません。

[PR]
by wp636 | 2017-05-11 07:03 | レッスン | Comments(0)

 先日、生徒さんからこんな質問をされました。
「先生、なぜ私たちは数学を学ばなければならないのですか?」

 私は何か身近な例はないものかと考えてから、次のように答えました。
「仮にあなたが100万円を銀行に貯金したとして、それも年利2%(複利)というとても有利な条件で貯金できたとして、10年後に一体いくら受け取れるのか計算できますか?」
「数学を勉強しないでいたら、正確には計算できないよね?世の中、計算が必要になる場面っていくらでもあるんだよ。」
「もっとも、この話は自分が利息を受け取る側だから、計算ができなくても別に損をする話ではない。でももしもあなたが大きな買い物をしようとする場合、例えば車を買ったり家を買ったりする場合、お金を借りなければならないことになる。まさか利息も無しでお金を貸してくれる親切な人なんてそうそういませんね。そうなると借りたお金は利子を付けて返済しないといけない。この時一体将来に渡っていくらお金を払わなければならないのか、しっかり計算できないと不安じゃない?」

 この生徒さんは「10年後に受け取れる利息の総額を計算する方法を教えてください」と言ってきました。ここで累乗という学習が効力を発揮するわけです。

 後日学校の数学の先生に、この生徒さんは同じ質問をしたそうです。
すると先生はこう答えました。
「数学を勉強するのは、将来役に立つからです。今は実感が湧かなくてもきっと将来の役に立ちます。」
これでは誰もやる気なんて出さないでしょう。「果たして学校で数学なんて勉強する必要なんてあるの?」ってより深い疑問を抱くでしょう。

 現在の中学生は3年生の終わり頃になると三角比を学習するそうです。
同じく生徒さんから「三角比なんて学習する意味あるんですか?サイン、コサイン、タンジェントを覚えて何の役に立つのですか?」と質問されました。
そこで測量というお仕事があり、異なる3点を結んで三角形を作り、出来上がった角度を測って距離を求める話をしました。
また中学1年生の地理で覚えさせられた三角点の意味を解説。測量と大いに関係があることを話すと納得してくれました。
 興味津々のこの生徒さんは、同じ質問を同じく数学の先生にぶつけてみたそうです。
すると・・・・・先生はさんざん考えてから「う~ん、将来何かの役に立つんだよ」と答えたそうです。

 子どもは何に対しても興味を抱く生きもの。素朴な質問に大人は真摯に答えてあげたいものです。
でもあまり遠い将来に役立つと言われても、やる気を刺激され努力することに繋がるとはとても思えません。
なるべき身近な話題で、しかも近い将来に効果が上がるような(成果を実感できるような)話をしてあげたいものです。

 残念ながら学校の先生という方々は、そのほとんどが大学を卒業してすぐに教職員試験を受けて教師になった人たちです。
知っている世界が学校周辺に限定されています、つまり知っている世界が狭いという難点があります。
しかも現代の教師の方々はやることが多すぎる。学校に拘束される時間が長すぎるのです。休日にまったくの異業種の人たちと交流を持ったりする時間もなかなか持てません(部活動の対外遠征試合や大会への参加などが、先生方の大きな負担になっていると話題に挙がっていますよね?)。恐らく学生時代は成績優秀で、学校の先生からの受けも良かった人たちだと考えられます。特に何も言われなくてもきちんと宿題を片付け、テストでも良い点数を取っていたのではないでしょうか?
だからこそ、学習する意味など熱く語る必要も感じない、と。

 子どもが抱く素朴な質問を軽く受け流すのではなく、どれだけ大人が真剣に答えられるか?
一見何気ないことが子どものやる気に、将来の進路に、大きく影響することを常々意識しておきたいものです。

[PR]
by wp636 | 2017-05-10 04:18 | 子育て | Comments(0)