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マクドナルドの迷走地図

昨日近所を散歩していて見つけたのが掲示の看板。
どうやらマクドナルドがすっかり地に落ちた企業イメージを回復しようとして掲示している広告のようです。

なんて書いてあるかというと、『キスするだけで妊娠する』" Küssen macht Schwanger."
こんな馬鹿げた噂に振り回されないで!』(マクドナルドのパテにはミミズが入っているとか、犬の肉が混じっているとか、地べたに落とした肉も拾って再利用しているとか、そういう諸々の噂に惑わされないで!)
ってことらしい。

そういえば先日別のマクドナルドの看板広告には『ドイツにはBielefeldなんて町ってのは存在しない』
なんて間違った情報に振り回されないで!って書いてありました。
Bielefeld住民から文句が来ないのかしら?

自分が子どもの時分、マクドナルドは高価な食べ物でした。家族でマックを頬張るなんてとっても幸せで、ちょっぴりゴージャスな感じがしたものでした。私が中学生の時分にはハンバーガーが1個240円まで値上がりしたこともありました。
昔はお父さんと子どもが一緒にビッグマックを頬張り、お父さんが子どもに「お前もビッグマックが一人で食べられるくらい成長したんだな、偉いぞ!」ってなCMもありましたね。
ところがバブル崩壊後の景気低迷とデフレに陥ると1個55円まで価格が下落。マックとはホームレスが毎日食べるものとまで言われていたっけ?
そのあたりからか、マックのハンバーガーって味が変わったように思うのです。

この疑問をレッスン後の雑談で話題にすると、ドイツ語のレッスンをしていた生徒さんから驚くべきお話を聞きました。
なんとマックのバンズ、パテ、チーズやソースなどを組み合わせると複雑な化学反応を口の中で起こすようで、これらのパーツを一緒くたに咀嚼するとマックの味になると。だから一個一個のパーツをバラバラに食べるとまったく美味しくないのだとか。要するにコカ・コーラ・ゼロの食べ物版。

ドイツに渡ってからもたまぁにマックが食べたくなって、一人小銭を持って近所のマックに食べに行っていたのですが、食後に何か満足感が得られないというか、何か物足りない感がずっと残っていたんです。
その原因がマックの味の変化(使用している食材の変化)によるものだと指摘されて、私には思い当たる節があっただけに大いにショックを受けました。
その興味深いお話を伺って以来、マクドナルドに一度も行っていません。

さてこのブログを読んだ方は、私の主張に「そういえば、マックの味一昔前とちょっと違うような気がするな」と思い当たりましたか?
それともマックが広告で訴えているように「嘘っぱちだ、マックを貶める作り話だ」と思いますか?

# by wp636 | 2017-05-21 06:56 | 日常生活

いきなり夏!

先日まで肌寒かったりひょうが突然降ってきたりで、いつまで経っても本格的な春がやってこないなァと思っていたら、いきなり夏本番か!と思うような陽気に。
今日の気温は27℃ですよ。一体どうなっているんでしょうか?

本来欧州の最も良い季節は5月の終わりから6月いっぱいでしょう。
気温も高くなり、快晴の日も続き、夏時間で昼間が長いし良いことづくめ。旅するならベストなシーズンです。

それと6月からはお祭りのシーズン。各地でさまざまなイベントやおらが町の祭が開催されます。
今年は転居して初めてのお祭りシーズンなので、近隣の町に出掛けていってこのあたりの文化に触れてみようと思っています。
そういえば、今週の土曜日はデュッセルドルフでJapantagが開催されますね。土曜日一日のイベントですが70万人以上の人出が予想されるそうで。ものすごく大きなイベントですね。
さらにビール好きの方にお勧めなのは、Bierbörse。各地のビールが一堂に会するイベントで、ドイツ全土を縦断していきます。
5月からスタートして9月まで続きます。
http://www.bierboerse.com/veranstaltungstermine.htm

ドイツに旅してくる友人知人は誰もみな「ドイツのビールはやっぱり旨いね」って言います。日本のビールとはちょっと別物ですね。
でも日本人にとってはキリンやアサヒのビールが飲みなれているので、飲める機会があるなら日本のビールを!と思ってしまうこと。デュッセルドルフにはたくさんの日本食レストランがありますが、なぜかここで食事をすると日本のビールを注文してしまいますね。

そんな愛着のある日本のビールも購入できるBierbörse。ドイツ文化に触れる機会として一度は訪れてみてほしいと思います。
ちなみにドイツのお祭り食ともいうべき、ソーセージやジャガイモを揚げたものなどと一緒にビールを飲めば最強の組み合わせ。
ちょっとジャンキーですがたまには良いものです。

過ごしやすい季節がやってきました。週末はお外に飛び出しましょう!

# by wp636 | 2017-05-18 11:26 | 日常生活

才能のある人は・・・

安定した職を辞してドイツに飛び出したのはもう10年以上前のこと。
一応本格的にドイツ留学する前に(会社を辞めてしまう前に)2週間だけRegensburgの語学学校Horizonteに体験入学(?)しました。たった2週間、しかもA1レベルで飛び込んだ私。
買い物にも不自由し、Gastfamilieとの意思疎通もまったくできませんでした。
悔しい、悲しい、遣る瀬無い・・・
10日くらい経った或る日、語学学校までの道すがら、涙が出ちゃいそうになってきました。「なんでこんなにうまく行かないのかなぁ」「こんなにいじけた気持ちでいて、果たして会社を辞めてドイツに移り住むことなんてできるのかしら?」と不安や絶望感に支配されていました。
お試し留学する前、会社の上司には「周囲の同僚の誰も、お前のように2週間も連続休暇を取ったことのある人なんていないぞ。帰ってくる頃には席がないと思え」と冗談とも本気ともつかない言葉を投げられていました。その頃には会社を辞めようと内心決意していたので、ドイツ生活が上手くいかないとなると八方塞がりになってしまうのです。

Regensburgの旧市街に入る前に小さな橋が架かっており、その橋のたもとにバス停があります。
なぜだか知らないけれど、そこに年金生活者とおぼしきお爺さんがいっつも座ってバスを待っているのです。ひょっとしたら散歩の途中で小休止していたのかもしれません。
すっかりしょげかえっていた私を見るに見かねたのか、そのお爺さんが元気よく挨拶してくれましたGrüß Gottと。
お爺さん、分かっていたんだな。私がドイツ語で会話できる感じじゃなかったことに。だからもうそれ以外何も言わなかった。笑顔で、ただひたすら笑顔で挨拶してくれました。
あれには本当に泣けた。朝から泣けた。声を出して泣いた。
でもドイツ人に優しくされて、なんだか「もうちょっと踏ん張ってみようかな」と思いました。

2週間が経って帰国の日、語学学校の担任だったS先生は私がたった2週間で日本に帰ることを始めて知りました。
そしてひとしきり驚いた後に私の目を見つめてこう言いました。「必ずドイツに帰っておいで。あなたならきっとドイツ語を身に着けられるわ」と。

その言葉を信じて1年後、私は会社を辞めてドイツにやってきました。2006年10月のことです。それからずっとドイツ暮らしです。
Regensburgにはその後夫婦で訪れました。
世界遺産に登録されてこの町はちょっと雰囲気が変わったように感じましたが、それはひょっとすると自分がドイツ語を話せるようになったから感じたのかもしれません。言語ができるってことは、町の見方から人との付き合い方から何から何まで変えてしまうから。

会社を辞める前、同僚で以前付き合っていた女性からこう言われました。「あなたは才能があるから海外に飛び出していける。みんながみんな、あなたのような決断ができるわけじゃないのよ」と。
でも私は「才能があるから」とか「選ばれているから」という言い方にしっくりこないものを感じていました。
自分の心のうちでは「やるしかないよな」と「決断なくして前途なし」くらいしかなかったので。

先日、たまたま坂東玉三郎さんのトーク番組を見る機会がありました。
その中で司会者が「玉三郎さんは才能があるから」とか「いつからご自分の能力に気付いていたのですか?」といった言い方を何度も繰り返していました。するとご本人は謙遜ではなく大いに本気で「才能なんてない」と否定していました。
そして「もしも才能があるなんて思っていたら、努力なんてしないのでは?」「能力があるのならば努力は必要ないでしょ」と答えているのを耳にして、そうだそうだと納得しました。

才能があると自覚して何かをやるなんてこと、実際にはたくさんあることなのでしょうか?
「とにかくやるしかない!」という必死なおもいからスタートするような気がしますが。

孔子先生は四十にして惑わずと仰ったけれど、私は40代半ばにして迷いに迷っています。悩みが尽きることはなさそうです。
でも、会社を辞めてドイツに飛び出す決意をしたのは間違いではなかった。
なにせ世界は広くなったし、見上げる空は青くて高くて美しいって感じられるようになったから。

# by wp636 | 2017-05-16 09:27 | 閑話休題

日本にいた当時、毎週土曜日に開催された南山短大コミュニティーカレッジでドイツ語の講座を受講していました。
講師は同時通訳を本業とする熱血漢のH先生で、この先生にドイツ語を本格的に学習する道しるべを与えられたと思っています。

ある時、先生は言いました「前つづりbe-やer-は他動詞を導くので、その後に4格目的語がくるんです」と。
こういう覚えやすい簡潔なルールというものを、私はすぐにノートに書き留めて暗記するタイプです。このときも「これは有用な情報を得たな」とほくそ笑みました。

ところが翌週の講義が始まると、或る60代の生徒さんがH先生の先の発言に絡みだしました。
つまり、「前つづりbe-やer-が基本的な動詞についても他動詞にならないものもあるじゃないか!嘘を教えるな!」と物凄い勢いで先生の発言を否定し始めたわけです。
私は言語なんてものは例外があって当然なので、「どうせ自動詞のものがあっても少数派だろうに」と思って黙って聞いていました。
(ちなみにerscheinen「現れる」は自動詞)
この日の授業どうなったと思いますか?
なんとこの議論で1時間15分くらいやりあったのですよ。くだらないですね。もう最後は教室中に白けた空気が流れていました。

ドイツ語レッスンの講師としてハッキリ言います。こういう考え方の人は言語を習得することはできません。
なぜなら言語は数学ではないからです。
相手はヨーロッパの言語です。鎖国していた日本にだってオランダや中国から外来語は入ってきていました。
様々な民族や国家がせめぎ合い、移動していた欧州に純粋なゲルマン語なんてものは存在しません。ローマ帝国やギリシャ帝国の言語がゲルマン語にも確実に取り入れられました。それをたった一つの100%例外のないルールで学ぼうとすること自体が不可能というもの。

60歳の手習いという感じでドイツ語を学び始めた方には到底見えなかったあの男性、今もきっと小さなことにこだわってドイツ語を習得する段には至っていないでしょう。

私は今でもあの時の白けた教室の雰囲気を思い出すことがあります。まずは言語を大まかに掴む。そして細部はレベルの上昇とともに修正していく、これが言語マスターへの最短距離だと信じています。
なのでH先生のbe-やer-は他動詞を導くというのは、今でも正しい教え方だったと思います。
唯一残念だったのは、あの男性が100%他動詞化するのではないけれど、大枠では有効な知識なのだと幅を持たせて理解できなかったことです。私は先の知識を使って「be-やer-の動詞には4格目的語」とマッチアップさせることで、会話のスピードが上がるのを実感できました。いちいち格を考える必要性が薄らいだからです。
そしてこの知識は今でも自分のレッスンに活きています。

揚げ足を取ることよりも、自分の知識を上げるための有効な知識として、他人の言うことは活用した方が賢明だと思います。

余談ですが、ドイツ語の他動詞は4格目的語を取る動詞のことを言います。helfenのような3格目的語しか取らない動詞は、ドイツ語では自動詞です。英語とはここが異なるので要注意です。

# by wp636 | 2017-05-13 19:31 | ドイツ語

ある程度の宿題は必要

 レッスン講師をやっていて気付いたこと。
それは宿題はある程度与えないと駄目ってこと。

 勉強とはやらされてやるものではない、と今も思います。
でも進んで勉強しない人がいるのも事実。それをじっと待っていても始まらないです。

 以前はあまり宿題を出さない講師だったので、よく保護者の方から「もっと宿題を出してください!」と不満を口にされていました。
そんなときは「この方は宿題ってものは与えられるものだと思って学生生活を過ごしてきたのだな。そういう勉強スタイルに満足していたのだろうか?」と疑問を抱いていました。「ひょっとして勉強って修行みたいなものだと勘違いされてやいませんか?」なんて思っていました。

 でも今はちょっと違った考えを持っています。
同じような問題を数多く解くことで、学んだことが定着する効果があると認めています。一度の解説とほんのちょっとの宿題、できれば自分で進んで学ぶようになってほしいと期待しても、残念ながらほとんどそのようなお子さんはいません。それが事実です。
ならばやはり講師の出す宿題の強制力というのも必要なのでしょう。

 ただし、そのまま人生を歩んでいくことは許されません。社会人になって指示待ちする部下ほど使えないものはないからです。
ではどこでギアチェンジするのか?この問いに答えられる学習塾ってあるのでしょうか。多くの学習塾が「当塾のカリキュラムに沿って学習すれば、受験を突破するまで何から何まで面倒見ます」という謳い文句で生徒さんを募集しています。指示待ちの部下は一日にしてならず。小さな頃から周囲の大人に課題も何も与えられてきたから、社会人になっていきなり「自分で仕事を見つけて自主的に片付けていくように」と期待されても動けないわけです。

 自分がいつから「仕事というのは自分で見つけて、先手先手で片付けていくものだ」と考えるようになったのか?実はこの辺の経緯を思い出すことができずにいます。まさか学習塾が教えてくれたとはとても思えません。

# by wp636 | 2017-05-11 07:03 | レッスン